オールドローズの香りを求め、草ぶえの丘バラ園を訪ねました
電車とバスを乗り継いで、緑の丘のバラ園へ

草ぶえの丘バラ園は、千葉県佐倉市にある植物園です。
京成佐倉駅からバスに乗り、住宅地を抜けて15分ほど走ります。
「草笛の丘」停留所で降りると、あたりは5月の新緑で青々していました。
入園券を買って奥に進むと、大きなバラのアーチが現れました。
まだ花の姿は見えませんが、香りがふんわりと漂ってきます。
見どころは、原種とオールドローズ

こちらの園は、原種とオールドローズの収集・保存を目的として運営されています。
ローズのみならず、一般に花は原種に近いほどよく香ります。
アロマセラピストとしては、一度訪ねてみたいと思っていました。
園内に咲く2500株のバラは、見やすいように、花壇で種類別に分けられています。
歴史コーナーでは、精油の材料にもなっているダマスクローズとケンティフォリアローズが咲いていました。
どちらも、16世紀にはすでに栽培されていたといわれます。
香りは甘く濃厚で、さわやかな現代バラとはちょっと印象が違いました。
日本を代表するバラ「ハマナシ」

日本のバラコーナーでは、ハマナシが咲いていました。
ハマナシは、北海道や東北など、寒い地域に自生する原種のバラです。
花びらの数が少なく、見た目は素朴な印象ですが、
香りを嗅いでみると、ダマスクやケンティフォリアに似た華やかさがありました。
杏仁豆腐と聞いたけど…

去年の今頃、朝のテレビ番組ででこちらの園が中継されたそうです。
そのなかで、エアシャー・スプレンデンスという品種が話題になりました。
杏仁豆腐の香りがするというのです。
この日、私も嗅いでみましたが、プラスチックのような人工的なにおいに感じられました。
想像と違いびっくりです。
世界が認めるバラ園です

こちらのバラ園は、世界的な賞をダブルで受賞しています。
見た目の美しさだけでなく、運営理念やメンテナンスの質も評価されたということです。
園内は、名前の通り、丘の地形が活かされていて、都心のバラ園とは比べものにならない解放感です。
広い空と緑の起伏に包まれながら、風に溶けるバラの香りが楽しめます。

後日談~エアシャー・スプレンデンスの香り
「草ぶえの丘バラ園」に行く前の日、ネット上で、こちらの園に杏仁豆腐の香りがするバラが植えられているという記事を見つけました。
そこで、どんな香りなんだろうと想像を巡らせていたのです。
ところが、実際は、上に書いた通り、イメージとは違うものでした。
香りの感じ方は人それぞれなので、正解というものはありません。
けれど、そこまで違うものなのかと不思議な気持が頭を離れませんでした。
家に帰って、香りの本をめくっていると、タイミングよく、エアシャー・スプレンデンスにまつわる文章が出てきました。
読んでみると、エアシャー・スプレンデンスはミルラの香りがすると書かれています。
自室の精油入れからミルラの精油を取り出し、集中して嗅いでみると、確かにプラスチックの雰囲気を感じます。
ミルラの精油は樹脂からとるので、きっと合成樹脂であるプラスチックと似た要素があるのでしょう。
杏仁豆腐はいまだ謎ですが、おかげで、実物を体験することの大切さを改めて知りました。
訪ねた日:2025/5/20