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バラの香りを求め、旧古河庭園を訪ねました

モダンローズの香りは、ダマスク系とティー系の2つに大別されるそうです。
ダマスクならアロマセラピーでもおなじみですが、ティー系の精油は見たことがありません。
そこで、ティーローズのなかでも有名な「レディーヒリンドン」の香りを体験しに、バラ園を訪ねてみました。
以下、旧古河庭園に咲く秋バラの様子をレポートします。

こちらが旧古河庭園です

10月中旬の秋晴れの日、東京都北区の旧古河庭園にうかがいました。
JR山手線駒込駅から、本郷通りにそって10分ほど歩くと到着します。

見どころは、大正時代に建てられたというこちらの洋館。
鹿鳴館も手掛けたイギリス人建築家が設計したそうです。

そして、今の時期は、バラという見どころも加わります。
洋館のすぐ下がバラ園になっていて、100種類も育てられているのです。

そんなバラの名所だからこそ、体験したい香りがありました。
ティーローズの代表格のひとつ、レディーヒリンドンです。

紅茶の香りのバラ

ある日、レディーヒリンドンについて書かれたこんな文章をみつけました。
お書きになったのは、中村祥二さん。
資生堂で香りの創作や研究を長く行い、その後も香り文化の普及に大変貢献なさっている方です。

Hybrid Tea RoseのTea「紅茶」を最もよく表す香りを持っているのはティーローズの’レディーヒリンドン’である。(略)紅茶のダージリン・セカンドフラッシュを缶からさらさらと出して、空の缶の中を嗅いだ時とそっくりな香りがする。

中村祥二、「花の香り」、『におい・かおり環境学会誌』38巻6号、2007

バラの研究家・元木はるみさんも、レディーヒリンドンの香りについて書いていらっしゃいます。

紅茶にたっぷりの砂糖を入れたようなこの花の香りは、午後より午前の方が強く香ります。

元木はるみ、「ときめく薔薇図鑑」、山と渓谷社、2018

わたしも、レディーヒリンドンの香りは嗅いだことがあります。
けれど、これほど具体的に紅茶の要素を感じたことはありません。
もう一度、ちゃんと確認したいと思いました。

濃厚に香るレディーヒリンドン

そこで、まずは、レディーヒリンドンのところに直行!
このとき午前9時過ぎです。朝がよく香るそうですから、少しでも早く行かなくては。

血眼で探していると、バラ園の東端に、クリーム色の花を見つけました。
もしかして、あれでは…

レディーヒリンドン、見つけました!
和名の「金華山」にふさわしく、朝の光をうけて輝いています。

さっそく、香りを確認してみます…。

おお~! よくわかりました。紅茶の香り。
わたしの感覚では、ロイヤルミルクティーのイメージです。
もちろんミルクの香りこそしませんが、とにかく甘く濃厚。
この香りに包まれて白湯を飲んだら、紅茶と錯覚するかもしれません。

見た目の特徴は、下を向いて咲くこと。


写真の通り、ツボミのときは上を向いているけど、開花するとうつむいています。

そして、旧古河庭園のレディーヒリンドンはつる性なので、専用の台に乗って展示されていました。

ティーローズいろいろ

レディーヒリンドン以外にも、すばらしいティー系の香りを体験しました。
こちらは、「春芳」。

レディーヒリンドンが濃厚なら、こちらは爽やかさが際立つタイプ。
そして、この日の姿は、とにかく素晴らしいの一言でした。フレッシュかつ満開の咲きっぷりです。

こちらは、「ガーデン・パーティー」。

やはり、ティー系の香りで有名な種類です。
けれど、わたしが行った日は、まだ咲きそろっていませんでした。
加えて、通路からは株が遠く、香りを体験するのは難しかったです。

こちらは、「芳純」。

純粋なティー系ではありませんが、ティーの要素を含んでいるとのこと。
残念ながら、ツボミばかりで、香りは体験できませんでした。
ところで、以前、資生堂から「芳純」という名の香水が売られていたことがあるそうです。
創作には、前述の中村祥二さんが関わっておられると聞きました。

バラのアイスを召し上がれ

園内の売店には、バラのスウィーツがたくさんならんでいます。
こちらは、バラのアイス。

全体的な印象は、ジェラート風であっさりした感じです。
ただ、バラの花びらが入っているおかげで、食感が楽しめるし、風味に奥行きを感じます。
バラのアイスは何度か食べたことがありますが、これは本格的だと思いました。おすすめです。

バラの香りは朝

 わたしは調香については、専門的な訓練を受けたことがありません。レディーヒリンドンの香りを体験したくて旧古河庭園を訪ねたけれど、ちゃんと感じることができるかなあと不安な気持もあったのです。

 ところが、このときのレディーヒリンドンは、びっくりするような迫力で、紅茶の雰囲気を伝えてくれました。バラの花に顔をくっつけながら、ああよかったと思いました。

 これほどしっかり感じられたのは、やはり朝という時間帯がよかったようです。試しに、1時間おきに2度確認してみたのですが、次第に香りのりんかくがぼやけてきたり、草のにおいが混ざったり、印象が変わったように感じます。

 このレポートでは、レディーヒリンドンの香りを中心にお伝えしましたが、もちろんほかのバラも素晴らしかったです。とくに、わたしがうかがった日は、ピースがこぼれるように咲いていました。白い花のまえに、撮影したい人たちが集まってにぎやかだったのを覚えています。

 旧古河庭園のホームページによると、バラの花は11月末まで鑑賞できるそうです。ぜひ秋バラを体験しに、訪ねてみてください。

(出かけた日:2020/10/21)

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