ロウバイの香りを求めて、所沢航空記念公園を訪ねました

こちら所沢航空記念公園です

所沢航空記念公園は、埼玉県所沢市の県営公園。
西武新宿線・航空公園駅を降りると、すぐ目の前にあります。
飛行場の跡地ということで、面積が50ヘクタール(東京ドーム10個分)もあるそうです。
【所沢航空記念公園のホームページ】
http://www.parks.or.jp/tokorozawa-kokuu/

現在は、その一角が蝋梅園になっていて、100本のロウバイが植えられています。
1月の終わりごろ、満開になったという話を聞き、香りを体験しに行ってきました。

ロウバイは、甘く爽やかな香り

園内に入ると、満開のロウバイが迎えてくれました。
通路の両側から、たくさんの黄色が迫ってくるようです。

顔を近づけてみると…。

はじめに、バナナのような濃厚なフルーツ風の甘さに気づきました。
それから、ちょっとツンとするフローラルな香りも感じます。
どちらも両極端の印象なのに、いい塩梅に混ざり合って、まるで計算したみたいです。
とても洗練されていて、調香師がつくった香りだと言われたら、信じてしまうかもしれません。

ロウバイの根元に、日本水仙が咲いていました。
ロウバイはよく、日本水仙の香りに例えられますが、実際に比べてみると、本当にそっくり。
日本水仙も、濃厚な甘さと爽やかさの両面を持ち合わせています。

※こちらは↓、2020年に、埼玉県幸手市・権現堂公園で行われた「水仙まつり」に行ったときの
レポートです。よかったらご覧ください。
https://rinsen-aroma.sakura.ne.jp/meguri_SatteGongendo_narcissus200202.html

3種類あります

ひとくちにロウバイといいますが、この日、3つの種類を確認することができました。

ひとつめは、こちら、ソシンロウバイ(学名:Chimonanthus praecox ‘Concolor’)。

黄色が薄く、透き通っているように見えました。ほんとうにロウでできているみたいです。
香りが特に強いと言われる種類で、アロマ好きには見逃せません。

ふたつめは、マンゲツロウバイ(学名:Chimonanthus praecox ‘Mangetsu’)。

黄色が濃く、形もまん丸でふっくらしています。見た目が華やか。
こちらの園では、マンゲツロウバイが一番多く見られました。

みっつめは、ロウバイ(学名:Chimonanthus praecox)。

外側は黄色ですが、花のなかをのぞくと、濃い赤紫色の花びらが見つかります。
江戸時代、中国からやって来たのがこの種類とのこと。トウロウバイやカラウメとも呼ばれます。

※こちらの蝋梅園には、自然交配でうまれた中間型の木も多く、種類を厳密に判別するのは難しいそうです。

ウメの香りと比べてみると

蝋梅園のすぐ隣は、日本庭園です。
こちらに、見事なウメの木があり、ちょうど花が咲いていました。

せっかくなので、香りを嗅いでみます。

ウメの花の香りは、ロウバイと比べると、ずっと草木の要素を感じます。
奥のほうには渋みもあり、自然の雰囲気があふれています。

ちなみに、ロウバイは、梅の字がつきますが、クスノキ目ロウバイ科の植物。ウメではありません。
ウメは、バラ目バラ科の植物です。

梅のお菓子をいただきました

日本庭園の敷地内に茶室があり、お茶を飲みながら一休みできます。

抹茶セット(440円)をいただきました。
セットの和菓子は、4種類から選べます。
わたしは、ロウバイにちなんで、梅の飾りがついているものをチョイス。
園内を歩き回ったあとだったので、やさしい甘さが身体にしみわたりました。

代わりにいかが?

残念ながら、ロウバイの精油というものを見たことがありません。
こんなにいい香りなのに、抽出がとても難しいのだそうです。

ロウバイが属するクスノキ目のなかに、似た香りの精油がないか調べてみると、
ローズウッド、ラヴィンサラ、リツェアクベバ、ホーリーフなどが見つかりました。
それぞれ魅力的ですが、抽出部位は木や葉っぱばかり。
花の精油は見当たりません。

「トウロウバイには、ジャスミン、ヒヤシンスに含まれるインドールのにおいをはっきりと感じる」
日本を代表する調香師・中村祥二さんが、「花の香り」という文章のなかで、こう書いているのを見つけました。
インドールとは、甘さや重さを感じさせる個性的な香りの成分。
確かに、ジャスミンには、ロウバイに通じるこっくりとした甘さがあります。

ジャスミンでしたら、ちょっと高価ではありますが、比較的入手しやすい精油です。
林泉にもご用意していますから、トリートメントの際はぜひご利用ください。
ロウバイに似た甘く華やかな雰囲気を感じていただけることと思います。

(でかけた日:2021/2/3)