イランイランの香りを求め新宿御苑を訪ねました

 自宅の庭で、イランイランを育てています。
 ところが、花がついてもすぐに落ちてしまい、あのすばらしい香りを堪能することができません。
 そんなとき、ツイッターのアロマ仲間さんが、「新宿御苑で、イランイランが咲いているみたいですよ」と教えてくれました。
 以下、新宿御苑の大温室体験記です。イランイランを中心に、温室ならではの花の香りをレポートします。

新宿御苑に着きました

 こちら、新宿御苑の新宿門。東京メトロ副都心線「新宿三丁目」駅から、四谷方面に3分ほど歩くと到着します。

 チケット(一般500円)を買ったら、木々のあいだを東に進みます。

 大温室が見えてきました。

 お目当てのイランイランは、こちらで育てられています。

大温室におじゃまします

 中に入ると、池があり…

 滝もあり…。
 気温はさほどでもありませんが、湿度はとっても高いです。

 ゴージャスなオオベニウチワ。

 テンリュウもおしゃれで気になりますが、今日のお目当ては…

さすが! 温室のイランイラン

 イランイランです!
 我が家のイランイランの木は70cmほどのおちびさんですが、こちらはわたしの身長と同じ160cmくらいあります。
 ※花の大きさは、縦横5cmくらいです。

 うちのイランイランはひとつずつぽつぽつ咲きましたが、こちらは数え切れないほど花がついて圧倒されます。訪ねたのはコロナ禍の平日で、人出はさほどではありませんでしたが、それでも写真を撮っている方を何人も見かけました。


 この日は、つぼみから熟したものまで、いろんな状態の花を見ることができました。
 それぞれ、嗅ぎ比べてみたいと思います。


 まずは、咲いたばかりのまだ緑色の花。

 残念ながら、芳香とはいいがたい雰囲気です。おしっこくさいような、合成樹脂のような、一般的なお花のイメージではありません。

 次は、黄色が鮮やかな、フレッシュで見ごろの花。

 見た目はとってもきれい。でも、香りはいま一つです。フローラルな要素はありますが、合成樹脂ふうのにおいも感じられ、いい香りと手放しで言うことはできません。

最後は、茶色いシミが出るほど、よく熟した花。

 見た目はやや衰えていますが、香りはすばらしいのひと言。フローラルな雰囲気のなかに、フレッシュな要素も感じられ、とてもいいバランスです。わたしは、精油のイランイランよりずっと爽やかに感じました。

すばらしい香りいろいろ

 イランイランのほかにも、香りの植物をいろいろと体験しました。
 たとえば、こちらはジャスミン。


 崖っぷちで近寄れないので、落ちている花を嗅いでみました。見た目はくちゃくちゃでしたが、イメージ通りの甘い香りがふんわり漂います。
 案内のプレートを見ると、学名が「Jasminum grandiflorum」と表示されていて、まさに精油の材料となる種類。いつもお世話になっておりますと言いたくなりました。

 こちらは、アメリカバンマツリ。

 香りのなかに、甘さだけでなく、ジンジャーふうの要素も感じられます。複雑でとてもエレガントな雰囲気です。
 名前の「マツリ」は、マツリカ(茉莉花、ジャスミン)の意味なのだそう。言われてみると、お花の形がちょっとジャスミンに似ています。

 こちらは、イエライシャン。

 なんとも、たとえようのない香りです。自分の記憶のなかを探してみても、似ている香りが思い浮かびません。
 イエライシャンはツル性なので、天井近くに張られたロープに巻き付いた状態で展示されていました。そのせいか、花が香るというよりも、まわりの空気が香っているというという感じです。なにかの加減で、香りが強くなったり、ふっと消えたりします。

こちらは、プルメリア。

 香りを嗅いで、パッと頭に浮かんだのはローズでした。科目も産地も、まったく違うのに不思議だなあ。そう思い、家に帰って調べてみると、ゲラニオールなど共通する香り成分が入っていることがわかりました。

 こちらは、ギンコウボク。

 木に近づくと、まず、ジャスミンティー(お茶)の香りがしました。よく嗅いでみると、フルーツのような印象もあります。バリ島など東南アジアに行くと、街角にふわりとこんな感じの香りが漂っています。
 写真の花が裏側なのは、ギンコウボクの背が高すぎて、カメラが届かなかったせいです。こちらの大温室は高さが15mあるそうですが、もう少しで天井にくっつきそうでした。

自分の温室ほしいなあ

 今回一番うれしかったのは、つぼみから成熟した花まで、いろんな状態のイランイランの香りを確認できたことです。これはまさに、温室という理想の環境のおかげでしょう。

 反対に、残念だったのは、香りを体験できない植物があったことです。
 芳香性の植物は夜や早朝に香りを強くするものが多く、たとえば、熱帯スイレンやサガリバナは、わたしが訪ねたお昼前後の時間帯では体験することができませんでした。

 園芸好きが高じて温室を自作してしまう方がおられるそうですが、新宿御苑の大温室を訪ねて、その気持がちょっとわかったような気がしました。

(出かけた日:2020/9/16)